関連出版物
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怪異の時空(1)『怪異を歩く』(青弓社) |
一柳 廣孝(監修) / 今井 秀和(編著) / 大道 晴香(編著)
四六判 256ページ 並製(2016年09月)
ISBN978-4-7872-9238-4 C0395
紹介
土地と移動にまつわる怪異を、私たちはどう受け止めてきたのか――評論家・東雅夫へのインタビューを筆頭に、怪談、『鬼太郎』、妖怪採集、イタコ、名古屋のオカルト、心霊スポット、タクシー幽霊などの怪異を掘り起こし、恐怖と快楽の間を縦横に歩き尽くす。
解説 心
霊スポットやタクシーの幽霊など、怪異が現れる場所や空間、それらと移動することとの関係性を明らかにする。人が空間を移動する、土地から土地へと旅する、その際に立ち現れる怪異を私たちはどう受け止めてきたのか。また、近代の都市化とともに強く意識されるようになった故郷や地方に深く関わる怪異とは何か。
評論家・東雅夫へのインタビューを筆頭に、怪談、『鬼太郎』、妖怪採集、イタコ、名古屋のオカルト、心霊スポット、幽霊タクシーなどの怪異を掘り起こし、恐怖と快楽の間を縦横に歩き尽くすシリーズ第1巻。
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はじめに 一柳廣孝 |
第1章 怪異を旅する:東雅夫インタビュー 聞き手:今井秀和/大道晴香
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第1部 往く人、来る人
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第2章 旅を棲家に、夢は枯野を……――江戸の客死と怪談
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今井秀和 |
第3章 地方を旅する鬼太郎――怪異が生じる場所を求めて
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清水 潤
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第4章 「妖怪採集」のすすめ――日常を拡張するまなざしの獲得に向けて
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市川寛也
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第2部 異郷と故郷
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第5章 蔵の中の近代――『会津怪談集』と妖怪博士
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伊藤龍平 |
第6章 土地の神が〈怪異〉になるとき――泉鏡花「山海評判記」から
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富永真樹 |
第7章 岡本太郎とイタコ――「神秘」というまなざし
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大道晴香 |
第3部 ここではない場所 |
第8章 尾張名古屋、魔の往く道――都市空間のなかのオカルト街道
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小松史生子
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第9章 よみがえれ、心霊スポット
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広坂朋信
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第10章 幽霊はタクシーに乗る――青山墓地の怪談を中心に
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一柳廣孝
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おわりに(今井秀和/大道晴香)
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怪異の時空(2)『怪異を魅せる』(青弓社) |
一柳 廣孝(監修) / 飯倉 義之(編著)
四六判 288ページ 並製(2016年12月)
ISBN978-4-7872-9240-7 C0395
紹介
円朝の怪談噺、劇場空間と怪異、超常能力表象、子どもと怪異、怪談実話、『刀剣乱舞』など、バラエティー豊かな怪異の物語を読み解き、怪異を魅せる/怪異に魅せられる心性を問う。創作活動にとっての怪異を語る小説家・峰守ひろかずへのインタビューも充実。
解説
新聞や雑誌、小説、落語、童話、ライトノベル、ゲーム……怪異は多様な形式に合わせて姿を変えて人々に受容され、ときに社会に大きなインパクトを与えてきた。怪異はどのように書き留められ、表現され、創作されてきたのだろうか。
創作活動にとっての怪異を語る小説家・峰守ひろかずへのインタビューを筆頭に、円朝の怪談噺、劇場空間と怪異、超常能力表象、子どもと怪異、怪談実話、『刀剣乱舞』など、バラエティー豊かな怪異の物語を読み解き、怪異を魅せる/怪異に魅せられる心性を問う。
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はじめに(一柳廣孝)
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第1章 怪異を書く:峰守ひろかずインタビュー 聞き手:飯倉義之/一柳廣孝
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第1部 怪異を物語る――怪異を伝えるために試みられたこと
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第2章 挿絵が語る怪談噺――『真景累ヶ淵』と『怪談乳房榎』の場合
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横山泰子
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第3章 豆男物の浮世草子――浅草や業平伝説との関係など
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佐伯孝弘
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第4章 劇場空間と怪異――泉鏡花「陽炎座」が描く観劇体験
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鈴木 彩
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第5章 超常能力と大正中期探偵小説
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浜田雄介
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第2部 怪異で物語る――怪異を通じて語りうること
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第6章 子どもと怪異――松谷みよ子『死の国からのバトン』を考える |
三浦正雄
馬見塚昭久
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第7章 船幽霊の声/幽霊船の沈黙――〈海異〉の近代文学史
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乾英治郎
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第8章 往生際の悪い死体――執着譚と蘇生譚の境界
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近藤瑞木
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第9章 枕のなかの世界――『唐代伝奇』「枕中記」の日本受容
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笹生美貴子
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第3部 怪異は物語る――怪異に読者が期待すること
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第10章 インディアン・ロープ・マジック幻想――幸田露伴から手塚治虫まで
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橋本順光
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第11章 「情報化」される〈怪異〉――『刀剣乱舞』からみる現代版「付喪神」の表象
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上島真弓子
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第12章 怪談の文法を求めて――怪談実話/実話怪談の民話的構造の分析
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飯倉義之
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おわりに(飯倉義之) |
怪異の時空(3)『怪異とは誰か』(青弓社) |
一柳 廣孝(監修) / 茂木 謙之介(編著)
四六判 260ページ 並製(2016年12月)
ISBN978-4-7872-9241-4 C0395
紹介
芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストに現れる亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして、近代における文化規範が怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューはファン必読。
解説
芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストと、天皇制・植民地・ナショナリズムといったテーマが交差するとき、そこには〈他者〉としての怪異が浮上し、私たちを恐怖に陥れる。
亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして見えてくる近代における文化規範が、怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューも充実。シリーズ完結。
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はじめに(一柳廣孝)
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第1章 実話怪談にとって「怪異」とは誰か:黒木あるじインタビュー 聞き手:茂木謙之介/一柳廣孝
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第1部 怪異の機能
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第2章 表現システムとしての〈怪異〉とノスタルジア――一九二〇年代の文学的想像力と「他者」の変容
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副田賢二
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第3章 皇の奇跡――戦間期地域社会における〈瑞祥〉言説をめぐって
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茂木謙之介
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第4章 弱者のために怨む――川村孤松『廻国行脚怪談百物語妖怪研究』について
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谷口 基
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第2部 〈外部〉のまなざし
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第5章 芥川龍之介の文学と「世紀末的な不安」――地震・帝国・怪異
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小谷瑛輔
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第6章 占領地に現れた“幽霊たち”――縮図としての火野葦平「怪談宋公館」
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構 大樹
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第7章 わたしたちのドラキュラ――横溝正史の『髑髏検校』と帝国主義
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中川千帆
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第3部 〈亡霊〉たちの現在
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第8章 三島由紀夫とオカルト言説――「二・二六」表象をめぐって
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松下浩幸
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第9章 〈喪主〉としての語り――村上春樹「七番目の男」から
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岡田康介
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第10章 ナラティヴの亡霊、あるいは川上弘美「花野」の亡霊論(hantologie)
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高木 信
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第11章 女が語る〈産〉と怪異――三枝和子『曼珠沙華燃ゆ』における亡霊たちのフォークロア
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倉田容子
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おわりに(茂木謙之介)
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清水 潤(著) / 怪異怪談研究会(編)『鏡花と妖怪』(青弓社)
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A5判 346ページ 上製(2018年03月)
ISBN978-4-7872-9247-6 C0095
紹介
大正期から昭和期における泉鏡花のテクストを丁寧に読み解きながら、岡本綺堂、国枝史郎、水木しげるなどの多様なテクストやサブカルチャーに目を配り、希代の妖怪作家・鏡花と現代の怪異怪談文化を接続して、近現代日本の怪奇幻想の系譜を紡ぎ出す。
解説
大正期から昭和期における泉鏡花のテクストを丁寧に読み解き、作品が内包する魅力や可能性を浮かび上がらせる。そして、鏡花を軸にしながら、岡本綺堂、国枝史郎、水木しげるなどの多様なテクストやサブカルチャーに目を配り、近代日本文学における〈物語〉のダイナミックな可能性と、そこでの〈怪異〉のありようをも照らし出す。
希代の妖怪作家・鏡花と現代の怪異怪談文化を接続して、近現代日本の怪奇幻想の系譜を紡ぎ出す文学研究の臨界点。
※本書の編集委員(以下、敬称略・五十音順)
一柳廣孝、小林敦、近藤瑞木、鈴木彩、副田賢二、谷口基、富永真樹、東雅夫
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始まりの書となれ
この論集は、〝始まり〟に過ぎない。論者はこの〝先〟こそを見据えていたのだろうと思う。
彼の見据えていたその〝先〟を知る術は既にない。
その〝先〟を書き継ぐのは本書を繙く者である。いや、後続たる者は本書を読んでおかねばならないだろう。
夭折を惜しむ。そして志を継ぐ者の登場を強く望む。
京極夏彦
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はじめに(東雅夫)
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第1部 鏡花と妖怪(解題 鈴木 彩)
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第1章 鏡花が描く妖怪像
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第2章 恋愛劇と「大魔神」――「飛剣幻なり」の妖怪像
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第3章 顔を奪うむじな――「古狢」の妖怪像
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コラム1 「語られ/騙られ」る怪異と向き合うために(飯倉義之)
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第4章 怨まない幽霊たち――後期鏡花小説の幽霊像
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コラム2 器怪が躍る昭和モダニズム──関東大震災後の妖怪文芸(乾 英治郎)
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第2部 水木しげると妖怪文化(解題 小林 敦)
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第5章 マンガ化される「高野聖」――『水木しげるの泉鏡花伝』を読む
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第6章 「妖怪ブーム」前夜の水木しげる
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第7章 一九七〇年代の「妖怪革命」――水木しげる『妖怪なんでも入門』
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コラム3 怪奇・妖怪・ホラー――「怪」なるものの消費と大衆文化(伊藤龍平)
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第8章 地方を旅する鬼太郎――怪異が生じる場所を求めて
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第3部 幻想・怪異・文学(解題 谷口 基) |
第9章 自動車に乗る鼠――泉鏡花「半島一奇抄」が描き出す怪異
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コラム4 走りゆく怪、流れつく怪――車窓がつなぐ陸と海(今井秀和)
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第10章 岡本綺堂の怪談
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第11章 国枝史郎「神州纐纈城」試論
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コラム5 「伝奇小説」の系譜と「異端文学」ブーム(谷口 基)
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第4部 鏡花を読む(解題 富永真樹)
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第12章 「由縁の女」の小説手法
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第13章 結末を持たない小説の読み方――「龍胆と撫子」論
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コラム6 「読み」をめぐる転換と煽動――一九二〇年代の小説とプロット(副田賢二)
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第14章 大正末期の鏡花文学――「眉かくしの霊」を中心に
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第15章 複製される「像」――「夫人利生記」論
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コラム7 鏡花テクストの視覚性――リアルの侵食(三品理絵)
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第16章 小説家の眼差しの彼方に――視線のドラマとしての「山海評判記」
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コラム8 鏡花文学の女性表象――真なるものを視る=書くことの(不)可能性(金子亜由美)
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清水潤著述一覧
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おわりに(一柳廣孝)
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怪異怪談研究会(監修) /茂木謙之介・小松史生子・副田賢二・松下浩幸(編著)『〈怪異〉とナショナリズム』(青弓社)
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A5判 376ページ 並製(2021年11月)
ISBN978-4-7872-9247-6 C0095
紹介
文学作品、怪談、史跡、天皇制、二・二六事件、マルクス主義と陰謀論、オカルトブーム――。〈怪異〉とナショナリズムとの関係性を戦争・政治・モダニズムという3つの視点から読み解き、両者が乱反射しながら共存した近代日本の時代性を浮き彫りにする。
解説
人々を政治的・社会的・文化的に統合し均質化する近代の国民国家は、非合理な他者の一つとして〈怪異〉を排除した。だが〈怪異〉はそのような近代社会と緊張関係をはらみながら様々に表象され、ナショナリズムにときに対抗し、ときに加担してきた。
戦前・戦後の文学作品、怪談、史跡、天皇制、二・二六事件、マルクス主義と陰謀論、オカルトブーム――〈怪異〉にまつわる戦前・戦後の小説や史料、事件、社会的な現象を取り上げて、「戦争」「政治」「モダニズム」という3つの視点からナショナリズムとの関係性を読み解く。
〈怪異〉とナショナリズムが乱反射しながら共存した近代日本の時代性を浮き彫りにして、両者の奇妙な関係を多面的に照らし出す。
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はじめに(茂木謙之介) |
第1部 戦争と教化
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第1章 戦意高揚物語への接近と離反――泉鏡花「海戦の余波」における〈人間ならざるものたち〉の役割
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鈴木 彩 |
第2章 出征する〈異類〉と〈異端〉のナショナリズム――「軍隊狸」を中心に
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乾 英治郎 |
第3章 恋する死者たちの〈戦後〉――『英霊の聲』と文学的なるもの
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松下浩幸 |
第4章 二十世紀前半の史蹟保存事業と史蹟の怪異
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齋藤智志 |
[コラム]亡霊となる戦死者 |
川村邦光 |
第2部 政治と革命
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第5章 怪異と迷信のフォークロア――佐藤春夫「魔鳥」「女誡扇綺譚」における〈植民地的不気味なもの〉
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堀井一摩 |
第6章 テロルの女たちはなぜ描かれたのか――宮崎夢柳「鬼啾啾」の虚無党表象をめぐる一考察
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倉田容子 |
第7章 〈怪異〉からみる二・二六事件――北一輝と対馬勝雄におけるオカルト的想像力
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茂木謙之介
大道晴香 |
第8章 マルクス主義的陰謀論の諸相――デリダ・ジェイムソン・太田竜
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栗田英彦 |
第9章 井上円了の妖怪学と天皇神話
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井関大介 |
[コラム]戦争と妖怪的なるもの、三題
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成田龍一 |
第3部 合理化とモダニズム |
第10章 大佛次郎「銀簪」と近代的怪談――山田風太郎創作メモ「小説腹案集」より「雪女」の記載を手がかりに
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谷口 基 |
第11章 中井英夫「虚無への供物」考――〈戦後〉という怪談、中井英夫から寺山修司へ
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小松史生子 |
第12章 浮遊する「墳墓」と永続性のゆくえ――細野雲外『不滅の墳墓』のナショナリズムと〈怪異〉 |
副田賢二 |
第13章 “オカルト天皇(制)”論序説――一九八〇年代雑誌「ムー」の分析から
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茂木謙之介 |
[コラム]新宗教における怪異とナショナリズム――初期霊友会の歴史観と日本の位置
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島薗 進 |
おわりに (茂木謙之介) |
怪異怪談研究会(監修) /一柳廣孝・大道晴香(編著)『怪異と遊ぶ』(青弓社)
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四六判 296ページ 並製(2022年4月)
ISBN978-4-7872-9267-4 C0095
紹介
怪異は、恐怖の対象として忌避されると同時に、好奇心を刺激して多くの人々を魅了してきた。怪談師、心霊術、分身、透明人間、「意味が分かると怖い話」――。怪異が娯楽やエンターテインメントとしても受容されてきたことを、多角的な視点から照らし出す。
解説
日常を逸脱した存在や現象である「怪異」は、恐怖の対象として忌避されてきた。しかし同時に、怪異は好奇心を刺激して多くの人々を魅了してきた。私たちはなぜ「怖いもの見たさ」で怪異をのぞき込み、怪異と戯れてしまうのだろうか。
怪談師、心霊術、分身、透明人間、キューピッドさん、『トワイライトシンドローム』、妖怪と地域文化、「意味が分かると怖い話」――多様なジャンルの事例から、怪異と遊びとの関係性を描き出す。
怪異を自らの手で日常生活へと呼び込む心性に迫り、怪異が単なる恐怖の対象ではなく娯楽や趣味として受容されてきたことを、文学研究や民俗学、社会学、宗教学などの視点から照らし出す。作家・川奈まり子との座談会も所収。
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はじめに(大道晴香) |
第1部 怪異を語る
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第1章 幽霊に萌える、怪異で遊ぶ
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伊藤龍平 |
第2章 語り継がれる狸合戦――阿波における憑依と遊戯
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斎藤 喬 |
第3章 怪談師の時代
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一柳廣孝 |
第4章 「意味が分かると怖い話」とは何か――「似ている話」を探して、作って、読み換える、遊び
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永島大輝 |
第2部 怪異を表現する
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第5章 分かたれた「己」で、遊ぶ――森鷗外「不思議な鏡」が映し出す分身譚の愉しみ
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構 大樹 |
第6章 大正、〈霊交術事件〉の夏――奇術としての心霊術
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今藤晃裕
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第7章 透明人間現る――隠れる物語から露わにする物語まで
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橋本順光 |
第3部 怪異を操る |
第8章 一九八〇年代の「こっくりさん」――降霊の恐怖を払拭する「キューピッドさん」の戦略 |
大道晴香 |
第9章 怪異と「遊ぶ」装置――『トワイライトシンドローム』を手がかりに
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橋迫瑞穂 |
第10章 怪異に学び戯れる人々――妖怪文化を育む虚構の共同体に着目して |
市川寛也 |
特別座談会 怪異を創る楽しみ
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川奈まり子
一柳廣孝
大道晴香 |
おわりに (一柳廣孝) |
怪異怪談研究会(監修) /乾英治郎・小松史生子・鈴木優作・谷口基(編著)
『〈怪異〉とミステリ─近代日本文学は何を「謎」としてきたか』(青弓社)
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四六判 330ページ 並製(2022年12月)
ISBN978-4-7872-9269-8 C0095紹介
紹介
岡本綺堂、江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作、海野十三、小野不由美、綾辻行人、京極夏彦などのミステリ作品に潜む怪異を精緻に読み解く。
解説
近年、ミステリジャンルでの「怪異」の増殖が目立つ。探偵小説や推理小説など、人智による「謎」の「合理的解明」を主眼としたフィクション・ジャンルであるミステリは、人智が及ばない「非合理」な存在である怪異・怪談・怪奇幻想・ホラーとどのように切り結んできたのか。
岡本綺堂、江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作、海野十三、久生十蘭、戸川昌子、小野不由美、綾辻行人、京極夏彦などのミステリの代表的な作家の作品はもちろん、四代目鶴屋南北や芥川龍之介、「故人サイト」やゲーム「逆転裁判」シリーズなどのテクストに潜む怪異を丁寧に分析する。
ミステリというジャンルで展開される「怪異」の 拡散と凝集、合理と非合理の衝突から、日本のミステリ小説の潮流を捉え返し、近現代日本の文化表象の変容をも明らかにする。 |
はじめに(乾 英治郎)
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【特別寄稿】怪異とミステリ─その面白さの類似と相違について
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光原百合
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第1部 「怪異」と「ミステリ」の遭遇
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第1章 歌舞伎と探偵小説─『東海道四谷怪談」とその変容 |
横山泰子
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第2章 怪異と謎解き、そして郷愁─岡本綺堂の探偵小説作法
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松田祥平
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第3章 イギリス怪奇幻想ミステリと近代日本文学─A.ブラックウッドと芥川龍之介を中心に
|
鈴木曉世
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第4章 江戸川乱歩と交霊術─神秘か、はたまたトリックか
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大道晴香
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第2部 「怪異」と「ミステリ」の交差 |
第5章 「怪談」以上、「探偵小説』未満の世界─江戸川乱歩の「幻想怪奇の小説」について |
谷口 基
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第6章 脳内に現象する怪異─海野十三・夢野久作・蘭郁二郎 |
鈴木優作
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第7章 〈浸食〉する〈死者〉たち─久生十蘭「死亡通知」における空襲と〈怪異〉
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脇坂健介
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第8章 「浪漫」としての怪異─横溝正史作品の人面瘡をめぐって
|
原 辰吉
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第3部 「怪異」と「ミステリ」の融合 |
第9章 家霊を脱構築する女─小野不由美「残穢」の〈転居〉と戸川昌子「大いなる幻影」の〈賃貸〉
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小松史生子
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第10章 館という幻想─綾辻行人『暗黒館の殺人』における自己の揺らぎ
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中川千帆
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第11章 妖怪の「理」/ミステリの「檻」─京極夏彦「百鬼夜行」シリーズは何を「祓った」のか
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乾 英治郎
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第12章 オンライン空間と怪異の変容─最東対地『夜葬』、城平京『虚構推理』、綾辻行人『Another』を対象に
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伊藤慈晃
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第13章 調整される怪異─『逆転裁判6』諭
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諸岡卓真
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おわりに(乾 英治郎)
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