怪異怪談研究会
Society for the study of The Weird and the Mysterious Tales


トークライブホラー・アカデミア
[監修]一柳廣孝
[会場]LiveWire
♯0
「怪異の時空」三部作(青弓社)刊行記念──「怪異は語る」怪異怪談研究会
2017・1・22
[登壇者]一柳廣孝 今井秀和  大道晴香  飯倉義之 茂木謙之介 東雅夫
幽霊、妖怪、心霊現象……時代や場所を超えて人々を惑わし、恐怖を与え、崇められ、ときには消費・快楽の対象にもなる「現実にはありえない現象」を「怪異」と定めて、怪異から時代や地域特有の文化的感性を照らし出す――シリーズ「怪異の時空」全3巻が完結しました。

理性と科学の世紀であるはずの21世紀に入りはや17年。しかし、現実社会は、政治も社会も混迷を深める一方。科学技術もブラックボックス化が進み、一般レベルではむしろその進歩が「見えなくなった」感があります。
そんな時代に、都市空間やフィクションの世界では、まったく逆ベクトルの「怪談」が多くの人の心を捉えています。
理性と科学の光が及ばない21世紀の人の心の領域に根を下ろした、怪しさ、怖さ、昏さ――闇を愛ずる感性。その現状と源泉を様々な角度から丁寧に読み解いた「怪異の時空」シリーズは、まさに“迷子の世紀を歩くためのもう一枚の地図”になるのではないかと思います。

シ リーズの監修を務めた一柳廣孝さんは、心霊や都市伝説などの怪異をベースにした文学研究者です。また、各巻の新進気鋭の編著者たちも登壇します。さらに、アンソロジスト・文芸評論家の東雅夫さんが途中から特別参加! 本シリーズで取り上げた、口承怪談、映画、落語、ラノベ、ゲームなど、様々な形で展開される「怪異表現のいま」に多角的に迫ります。

「怪異を語る」人々をフィールドワークした研究者たちは、その背景に何を見たか。「怪談」という装置が動くとき、語る/聞く人々の心の何を動かし、何を浮かび上がらせるのか。それはまさに、怪異「が」語る、21世紀の日本人の民俗的心性・集合的無意識の一つの断面ではないかと思われます。

怪談を愛好する人はもちろん、逆に不合理や怪異譚を忌み嫌う人にも楽しんでいただける、知的でスリリングなイベントになるはずです。
♯1 『学校の怪談』で大きくなりました ──常光徹先生と語る夜
2017・5・21
[登壇者]常光徹 飯倉義之  上島真弓子
皆さん、『学校の怪談』って、大好きでしたよね?
『学校の怪談』を世に送り出したレジェンド・常光徹先生に、『学校の怪談』で育ってきたネイティヴ世代が率直に訊いちゃう夜会を開催します!

児童書シリーズの『学校の怪談』の刊行は1990年。この年に生まれた赤ちゃんが、もう「アラサー」の年齢です。
社会的ブームともなった『学校の怪談』は、平成以降に生まれた子どもたちの成長に寄り添っていた、脳裏に焼き付いた強烈な思い出(トラウマ)なはず。みんな『学校の怪談』で大きくなったんです。

花子さんがマジ怖かった方、映画版をドキドキして見てた方、学校の怪談のゲームを楽しんだ方、子どもにせがまれて買っていた方、後から知ってビッグウェーブに乗り損ねた方、学校の怪談コンテンツの作り手のほうにおられた方、最近知ったという若い方……どうぞお運びください。『学校の怪談』に興味のある方をどなたも歓迎いたします。

刊行30年を目前にして、『学校の怪談』を生みの親と語りあかそう!
♯2
怪異怪談の歩き方 ~ゴーストツアー~ 小泉凡さんを迎えて
2017・8・28
[登壇者]小泉凡 市川寛也 富永真樹
物語の舞台を訪ね歩く「聖地巡礼」が流行語にもノミネートされる昨今。
怪異や怪談、妖怪にゆかりのあるスポットを巡るまち歩きも各地で開催されています。

今回は、小泉八雲の曾孫であり、「松江ゴーストツアー」の仕掛け人でもある小泉凡氏をお招きして、地域に眠る「怪談」がいかにして新たな観光スポットになり得たのか、その仕組みを語り尽くします。

怪異、怪談、妖怪に興味がある方のみならず、まち歩きや観光に関心のある方にもお楽しみいただけます。
♯3 〈妖怪馬鹿〉の育ち方
2017・12・24
[登壇者]氷厘亭氷泉 式水下流 永島大輝 飯倉義之 (司会)廣田龍平
今回のホラーアカデミアは、〈妖怪馬鹿〉をキーワードに、妖怪文化の受容がどのように成立していったのかを文化の発信・受容者たちが語り合います。

サブカルチャーに妖怪が最も満ちている現代、妖怪文化はどのように受容されているのか。
Webを中心として妖怪文化の発信を続けている氷厘亭氷泉・式水下流は、アカデミアの妖怪研究に何を求めるのか。
永島大輝・飯倉義之ら、アカデミアの妖怪研究者たちは有志の妖怪研究コミュニティーから何を受け止め、その活動を相対化するのか。

世代(第1~第4世代)間の受容の差や、どのメディアから妖怪文化を受け止めたのかによって生まれる差を中心に、妖怪文化を考えます。
♯4 鏡花と怪異怪談── 清水潤『鏡花と妖怪』をみちびきに
2018・5・20
[登壇者]東雅夫 今藤晃裕 鈴木彩
怪異怪談が文学のマイナージャンルだった明治・大正・昭和初期、文壇でそれらを描き続けた稀代の「おばけずき」作家・泉鏡花は、70年代の幻想文学ブームで復権を果たし、いまや「文スト」「文アル」をはじめサブカルチャーでキャラクター化されるまでに至っている。

清水潤『鏡花と妖怪』は、その鏡花による「高野聖」「山海評判記」などの幅広い怪異怪談に加え、隣接する作家(水木しげる、岡本綺堂、国枝史郎)や文化現象をも考察する最新の研究成果である。

志半ばで他界した清水の「志を継ぐ者」(by京極夏彦)たちが自らの研究成果を携えて、鏡花関連のアンソロジーを多数手がけ、清水の先達でもあった東雅夫をゲストに迎え、鏡花と怪異怪談について縦横無尽に語る。
♯5 ホラー&ミステリ ―─ その境界と融合
2018・8・27
[登壇者]光原百合 谷口基 小松史生子 (司会)乾英治郎
かつて「探偵小説」の名のもと、同一ジャンルであった「ホラー」と「ミステリ」は現在、ふたたびその垣根をこえんと蠢動をはじめている。

日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作「十八の夏」でミステリ作家として知られる光原百合氏は、幽界、顕界、魔界の交叉する土地「潮ノ道」を舞台とする連作小説『扉守』をもって東雅夫氏を驚嘆せしめた幻想小説の名手であり、近年にあっては雑誌『幽』に実話怪談を発表、さらには地元・尾道市において怪談イベント「尾道てのひら怪談」「ふるさと怪談トークライブin尾道」等を主催、いずれも成功裡に終わらせるなど、めざましい活躍ぶりをわれわれに印象づけている。ひそやかに、しかし長きにわたってミステリとホラーとの接近を試みてきた稀有の作家の資質が、いままさに、妖艶なる大輪の花となって開花した観があろう。

ホラーアカデミア第5回では、ミステリとホラー、さらに実話怪談の世界までをも掌握する尾道の猟奇女子・光原百合氏を迎え、「探偵小説」研究のトップアカデミシャン小松史生子と変格異端の研究者・谷口基がミステリ・ホラー・怪談の彩なす因縁図を語りつくす。
♯6 怪異の“現場”を訪ねて ―─ 続・『怪異を歩く』
2018・12・14
[登壇者]吉田悠軌 広坂朋信 大道晴香
心霊スポット、忌み地、ミステリーゾーン、禁足地、お化けの住所録、地縛霊———遭遇したことがなくても、私たちはその理を本能で知っている。そう、〈怪異〉が特定の「場」を介して、人に“憑く”ということを。
『怪異を歩く』の刊行から2年、今再び「土地」と「空間」、そして「探訪」の観点から〈怪異〉の神髄に切り込む!

ゲストにお迎えするのは、吉田悠軌氏と広坂朋信氏。綿密な現地踏査によって怪異譚の背景に鋭く迫ってきた、『禁足地帯の歩き方』『怪談現場東京23区/東海道中』の著者で、『怪処』の編集長でもある吉田氏。
『東京怪談ディテクション』で怪談と土地のいわく・伝承との因果関係を解き明かし、『怪談の解釈学』で心霊スポットに分析のメスを入れた広坂氏。

幾多の「現場」に立ち会ってきた、怪異のスペシャリスト二名が織りなす白熱のトークを、『怪異を歩く』の編者で霊場恐山の研究者である大道晴香が盛り立てます。
♯7 『幽』から『怪と幽』へ!── 怪異怪談メディアのこれまでとこれから
2019・5・10
[登壇者]東雅夫 門賀美央子 (司会)一柳廣孝
2018 年12月、雑誌『幽』の突然の終刊は私たちに衝撃を与えた。通巻30号を数え、平成後半の怪異怪談シーンを牽引した『幽』は、私たちに何を与えたのか。そして『幽』的なるものは、どのように受け継がれていくのか。

『幽』の編集責任者だった東雅夫氏と、同誌、および新雑誌『怪と幽』の編集を担当する門賀美央子氏にご登壇いただき、『幽』のこれまでと『怪と幽』のこれからについて、コーディネーターの一柳廣孝とともに、縦横無尽に語りつくす。
♯8
ライトノベル・ライト文芸のなかの「怪異」――怪談文芸の行方
2019・8・12
[登壇者]峰守ひろかず 大橋崇行   (司会)飯倉義之
ラ イト文芸では、怪異は花盛りである。イケメンの妖(あやかし)たちが人間社会に入り込み、旅館や喫茶店、和菓子屋から不動産業、さらにはクリニックまで、ありとあらゆる業種で活躍し、女性読者を魅惑する。一方、ライトノベルでは、怪異怪談系は退潮気味であるものの、非日常世界を日常に変える異世界系の物語が大人気である。

そこで今回は、『ほうかご百物語』でライトノベル作家としてデビューしたのち、『絶対城先輩の妖怪学講座』シリーズで人気を博し、さらに近年は『妖怪解析官・神代宇路子の追跡』『新宿もののけ図書館利用案内』『STAiRs, be STAR! 怪談アイドルはじめます。』を立て続けに発表して波に乗る峰守ひろかずさん、そして近現代日本文学研究者にしてラノベ作家、さらにはライトノベル研究会を主導するという、もはや八面六臂の怪異にしか見えないご活躍の大橋崇行さんをお招きし、現今のライトノベル界、ライト文芸界における「怪異」について、ご自身のお仕事も含めて、縦横無尽にお話しいただく予定である。
♯9 迷宮・江戸怪談をさまよう
2019・12・27
[登壇者]横山泰子 今井秀和 岡島由佳   (司会)赤井紀美
江戸時代の怪談は、間口が広く奥が深い。そこでは人々が夜ごと集い、怪談を披露し合って怪異の到来を待ち受けている。かと思えば、天狗の住む世界と江戸とを往来する少 年を囲んで、あちらの世界の様子を尋ねてもいる。一方では歌舞伎や落語、講談といった文芸の舞台で、絢爛豪華な怪異が幻出される。あたかも迷宮のごときこの世界に足を踏み入れて、江戸怪談の神髄を堪能しようではないか。

ゲストにお迎えするのは、『新選百物語』で翻刻・注・現代語訳を担当した新進気鋭の近世文学研究者、岡島由佳氏と、『異世界と転生の江戸』で天狗にさらわれた少年「寅吉」や転生少年「勝五郎」に対する考察を展開する今井秀和氏。さらに江戸怪談研究の第一人者、横山泰子氏をお迎えして、迷宮のガイドをお願いする。司会担当は、近世から現代に至る歌舞伎、演劇のスペシャリスト、赤井紀美氏。四人のトークによって、いま、江戸の怪異が現代に蘇る。
♯10 怪談実話を「書く」
2020・8・22
[登壇者]川奈まり子 小松史生子  大道晴香   (司会)赤井紀美
夢か現うつつか幻か・・・・その間(あわい)に私たちを迷い込ませる怪談実話は、その土地やそこに住む人々の怖ろしくも懐かしい情念を訴えるものであります。記念すべき10回目のホラーアカデミアは、そんな怪談実話の背後に見え隠れする土地の歴史や人々の想いについて、じっくり語り合う2時間です。

ゲストにお迎えするのは作家の川奈まり子氏。昨年は『実話怪談 でる場所』、『実話奇譚 怨色』など立て続けに刊行。綿密な資料調査とフィールドワークに裏打ちされた作品の数々は、ルポルタージュ怪談という怪談実話の新境地を開拓し続けています。
対談者は、探偵小説を軸に都市と怪異を架橋する研究を展開している小松史生子氏、またイタコ研究の第一人者にして『怪異を歩く』の共編著の経験もある大道晴香氏両名、さらに司会は、怪談劇研究の赤井紀美氏でお送りします。各界のトップランナーであり無類の怪談好きが一同に会した今宵のホラアカ。ゲストを囲んで、思う存分語りあかしていただきましょう。

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